2025/02/18

とても珍しい緑色の桜「御衣黄桜」の名所を徹底解説!

淡いピンク色のイメージが強い桜ですが、薄い黄緑色(ライムカラー)の桜があることをご存じでしょうか。

春になると列島全体が桜に包まれる日本においても、とても珍しくてなかなか観ることのできない「御衣黄(ぎょいこう)」という桜について、今回はご紹介していきます。

御衣黄とは

御衣黄は、江戸時代(17世紀〜19世紀前半)に京都の仁和寺で栽培されたのが始まりとされる、八重桜(花びらが幾重にも重なっている桜)の一種です。

高貴な身分の方が着ることを許された服(御衣)のなかで、位の高い黄色に分類された萌黄色(もえぎいろ)と、花弁の色が近いことから、「御衣黄」という名前がつけられました。

ドイツ出身の医師で植物学者であるシーボルト博士が、1823年から1830年にかけて日本に滞在した後に、この御衣黄を植物標本として持ち帰り、日本植物誌にまとめられたことでも知られています。

御衣黄はなぜ珍しい?

御衣黄は、1つの花に対してライムグリーン色の花びらを10枚〜15枚ほどつける八重桜です。

咲き始めの花びらは、思わず葉っぱと見間違えてしまうほどの明るい緑色をしています。

これは、光合成をおこなうための「葉緑体」が、花びらに存在しているからだということが分かっています。

花びらは、光合成が進むにつれてどんどんと白色に近くなり、やがて中心から赤色を帯びるように色の変化が起こり、散り際には普段目にしている桜に近いピンク色へと染まっていきます。

位の高い貴族の衣のような美しさであったため、主に上流階級の鑑賞用として愛されていたこと、そして開花時の色が淡い緑で目立ちづらかったために、希少性が高まったと考えられています。

御衣黄の花言葉

御衣黄の花言葉は「永遠の愛」、「優美」、「心の平安」、「精神美」です。

まさに御衣黄の、控え目ながらも品の良い美しさを放つ様子、すこしずつピンク色へと染まりながら満開を迎える様子が反映された花言葉となっています。

また御衣黄は金運の向上というご利益がある桜で、多くの方から愛されています。

御衣黄の名所は?

御衣黄の開花時期は、日本で最も一般的な桜「ソメイヨシノ」と比較して、2〜3週間程度遅くなり、4月中旬〜下旬頃が開花の目安時期です。

御衣黄桜の名所①仁和寺(京都府)

仁和寺は、御衣黄の発祥の地とも言われており、敷地内にある二王門や中門の近くで、何本もの御衣黄を鑑賞できます。

特に勅使門近くには、天皇皇后両陛下が植樹された御衣黄がありますので、必見です。

また仁和寺では、御衣黄をイメージした御朱印帳も販売されています。

咲き始めの御衣黄と同じ、ライムグリーンの春らしいデザインとなっていますので、仁和寺を参拝する際には、ぜひ御朱印帳も手に入れてくださいね。

仁和寺の御衣黄桜の見頃

仁和寺では例年4月上旬〜4月中旬頃に、御衣黄が見頃を迎えます。

また御衣黄桜のほかにも、八重桜やソメイヨシノ、山桜など様々な桜が咲き誇る仁和寺では、3月末から5月初旬にかけて「御室花まつり」が開催されます。

仁和寺の所在地

京都府京都市右京区御室大内33

仁和寺へのアクセス

仁和寺に向かう際は、関西国際空港から高速バスを利用して、京都駅に向かってください。

空港から京都までの高速バスの所要時間は、90分程度です。

京都駅からは嵯峨野線に15分ほど乗車して、太秦駅に向かいます。

次に、太秦駅から歩いて3分ほどの場所にある撮影所前駅から嵐電に6分ほど乗車すると、御室仁和寺駅に到着します。

御室仁和寺駅の改札を出ると、目の前に仁和寺があります。

御衣黄桜の名所②神奈川県立三ツ池公園(神奈川県)

神奈川県立三ツ池公園は、日本の「さくらの名所100選」に選ばれるほどの、桜の名所です。

春になると園内にある3つの池を囲むようにして、約70品種、1000本以上の桜が次々と咲き続け、水辺を綺麗に彩ります。

御衣黄をはじめとする遅咲きの桜は、園内の北西側に多く植えられています。

水面に映る桜の様子がとても美しく、晴れた日は写真を撮ったり、様々な品種の桜を見比べたりしながら散策する人々で賑わいます。

神奈川県立三ツ池公園の御衣黄桜の見頃

神奈川県立三ツ池公園の御衣黄桜は、4月中旬〜下旬頃に見頃を迎えます。

この時期には、鬱金(うこん)や兼六園菊桜など、御衣黄と同様に色が一般的な桜の色ではなく、あまり見かけない品種の桜が一斉に咲きますので、貴重な桜の鑑賞にぴったりです。

神奈川県立三ツ池公園の所在地

神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園1-1

神奈川県立三ツ池公園へのアクセス

神奈川県三ツ池公園に行くためには、まず羽田空港から横浜駅へ高速バスで移動しましょう。

高速バスの所要時間は、約30分です。

横浜駅からは、市営バスに30分乗車してバス停「下末吉国道際」に向かい、再度市営バスを乗り継ぎ、10分ほど先のバス停「三ツ池公園北門」で下車すれば、公園の目の前に到着できます。

御衣黄桜の名所③小田原フラワーガーデン(神奈川県)

小田原フラワーガーデンは、約11種類の桜が植えられており、春の花々と桜の共演が美しい、人気の観光スポットです。

フラワーガーデンに至るまでの道路が桜の並木になっており、園内に入る前から桜を堪能することができます。

特に小田原フラワーガーデンは、御衣黄と枝分かれの品種で、黄色がかった花を咲かせる鬱金という桜と、御衣黄が並んで植えられているスポットとして愛好家からの人気を集めています。

御衣黄も、鬱金も、どちらもとても珍しい品種ですので、並んで鑑賞できる小田原フラワーガーデンは、まさに桜の名所です。

小田原フラワーガーデンの御衣黄桜の見頃

小田原フラワーガーデンの御衣黄桜は、4月下旬頃に見頃を迎えます。

園内のカフェでは春季限定メニューの「桜の花ジェラート」、「桜ぜんざいジェラート」を販売していたり、お土産コーナーで「桜ゼリー」を取り扱ったりしていますので、ぜひ桜スイーツを片手に、お花見を楽しんでください。

小田原フラワーガーデンの所在地

神奈川県小田原市久野3798−5

小田原フラワーガーデンへのアクセス

小田原フラワーガーデンに向かう場合は、まず羽田空港から品川駅まで電車を利用して移動します。

所要時間は20分程度です。

品川から東海道線に70分程度乗車すると、小田原駅に到着します。
小田原駅からは、30分ほど伊豆箱根バスに乗車すれば、バス停「フラワーガーデン」に到着できます。
バス停の目の前が、小田原フラワーガーデンです。

まとめ

御衣黄は、多くの桜が咲き誇る日本のなかでも特に珍しい、ライムグリーンの花を咲かせる桜です。また、開花が進むごとに色が移り変わる様子は、春の訪れを感じさせてくれます。

御衣黄が鑑賞できるスポットは限られていますので、ぜひ事前にしっかりと情報をチェックして、御衣黄を探してくださいね。